犯罪の抑止力として防犯監視カメラは、現代ではあらゆる場所に設置されています。
しかし、世の中に防犯監視カメラが増えることによって、撮られる側である人々にも「カメラで撮影されることによるプライバシーの保護」について敏感になっています。
簡単に法律や違法性について法律家に相談できるサイトをのぞくと、防犯監視カメラに関するトラブルや不安を抱えている人が多いのが分かります。
実際に裁判になった例もありますので、無用なトラブルを避けるためにも防犯監視カメラとプライバシー保護について考えてみましょう。
■敷地外が撮影範囲になる場合
防犯監視カメラでトラブルになりやすいのはエントランスや出入り口に設置したカメラなど、近隣施設や施設外が撮影範囲に及んでいるカメラがある場合です。
過去、設置されている防犯監視カメラがプライバシーを侵害しているとして裁判でカメラの撤去が認められた事例があります。
近隣住民が自宅に設置しているカメラが自宅付近の道路まで撮影していたことがプライバシーを侵害にあたるとして撤去と賠償金が求められた裁判でした。
該当のカメラの映像は顔を識別できるほどではありませんが、鮮明に映ることや近隣住民の外出や帰宅などの日常生活の行動パターンが把握できてしまうものと判断され、撤去を言い渡されました。
このように私有地内であってもその撮影範囲には注意が必要となってきます。防犯監視カメラの高性能化も進み、鮮明な映像が残せるようになった昨今では特に扱いに気を付けなければなりません。
近隣とのトラブルを回避するためにも
・近隣の施設を覗き込める位置や角度で防犯カメラを設置しない
・特定の範囲以外は撮影されなくなるプライバシーマスクを活用する
といった対策を念頭に置いて設置場所の検討をしていくことが大事になります。。
■映像管理のトラブル
万引きにたまりかねた店舗が「盗品を返さない場合、防犯監視カメラが撮影した顔の画像を公開する」と警告をした例があります。警察からの要請で公開を中止したことや万引き犯がすぐに捕まったこともあり、この問題は世間に「万引き犯に対する個人情報の開示」について考えさせられる話題となるに留まりました。
店舗は防犯のために防犯監視カメラを設置して撮影する権利はありますが、個人が特定できる情報は「個人情報」になります。
万が一映像公開後に、犯人だと思われていた人が人違いであったり無実である場合、逆に名誉棄損として訴えられる場合もあります。個人には「肖像権」や「プライバシー権」、「名誉を守られる権利」が存在しますのでその扱いは慎重にならなくてはいけません。
■まとめ
防犯監視カメラの設置はセキュリティを高めるために効果的ですが、その設置や運用を間違えると無用なトラブルを引き起こす原因になりかねません。犯罪やトラブルを回避するために設置した防犯監視カメラのせいで訴えられることになってしまえば本末転倒なので、導入の際にはその設置場所から慎重に検討しましょう。
もし、現在の運用に不安を感じるという方は弊社のセキュリティアドバイザーにご相談ください。